半導体製造装置と言えば、日本の製造業のなかでも数少ない世界的なトップシェアを持つマーケットと言われています。その一方で、かつては日本のお家芸であった半導体製造装置の日本の位置は低下を続けているという意見もあります。両極端の意見が並び立ち、一体どちらが本当なのだろうと長い間疑問に思っていました。
その疑問に答えてくれる記事がありました。
「日本の前工程装置のシェアはなぜ低下?
~欧米韓より劣る要素とは」という記事。
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2208/19/news038.html
基本として半導体製造は大雑把にわけると前工程と後工程があります。
前工程は、シリコンウェハーに回路を形成するまでの工程で、トランジスタ形成や露光による回路形成、成膜など。
後工程は、回路が形成されたシリコンウェハーを半導体チップに切り出して、実際のIC・LSIとして出荷するまでの工程を言います。
記事によると、このうち前工程装置のシェアが2013年頃から急低下していることが判明しています。
データから読み取れることは、確かに日本には特徴的にシェアが高い装置分野がありますが、その市場規模は決して大きくないニッチな市場に限られる、ということだそうです。確かに市場規模が大きな、たとえば露光装置やCVD装置といったマーケットではシェアの小ささが目立ちます。
一方、100億米ドルを超える市場規模の装置分野では、欧米の装置メーカーがシェアを独占していることが分かります。こちらの前工程の部分では、ASML、Lam Research、Applied Materialsといった世界的な大手がほぼ独占的なシェアを持っています。
前工程装置の企業別シェア、日米欧のシェア、市場規模(2021年)出所:野村証券
このあたりが実情のようです。
記事によるとマーケティングにより成長分野にリソースを絞り、オープンアーキテクトとして各社のさまざまなソフトや技術を取り込んで、ひとつの世界標準をつくり上げていったところにダイナミックな成長の源泉があった、としています。これに対してこれまで日本メーカーは経験や職人芸によって各社向けにきめ細やかに対応してきたが、この方法も改めるべき時が来たのかもしれないとしています。
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