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9月, 2022の投稿を表示しています

日本の半導体製造は強いのか弱いのか?の答え

半導体製造装置と言えば、日本の製造業のなかでも数少ない世界的なトップシェアを持つマーケットと言われています。その一方で、かつては日本のお家芸であった半導体製造装置の日本の位置は低下を続けているという意見もあります。両極端の意見が並び立ち、一体どちらが本当なのだろうと長い間疑問に思っていました。 その疑問に答えてくれる記事がありました。 「日本の前工程装置のシェアはなぜ低下? ~欧米韓より劣る要素とは」という記事。 https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2208/19/news038.html   基本として半導体製造は大雑把にわけると前工程と後工程があります。 前工程は、シリコンウェハーに回路を形成するまでの工程で、トランジスタ形成や露光による回路形成、成膜など。 後工程は、回路が形成されたシリコンウェハーを半導体チップに切り出して、実際の IC ・ LSI として出荷するまでの工程を言います。   記事によると、このうち前工程装置のシェアが 2013 年頃から急低下していることが判明しています。 データから読み取れることは、確かに日本には特徴的にシェアが高い装置分野がありますが、その市場規模は決して大きくないニッチな市場に限られる、ということだそうです。確かに市場規模が大きな、たとえば露光装置や CVD 装置といったマーケットではシェアの小ささが目立ちます。 一方、 100 億米ドルを超える市場規模の装置分野では、欧米の装置メーカーがシェアを独占していることが分かります。こちらの前工程の部分では、 ASML 、 Lam Research 、 Applied Materials といった世界的な大手がほぼ独占的なシェアを持っています。 前工程装置の企業別シェア、日米欧のシェア、市場規模( 2021 年) 出所:野村証券 このあたりが実情のようです。 記事によるとマーケティングにより成長分野にリソースを絞り、オープンアーキテクトとして各社のさまざまなソフトや技術を取り込んで、ひとつの世界標準をつくり上げていったところにダイナミックな成長の源泉があった、としています。これに対してこれまで日本メーカーは経験や職人芸によって各社向けにきめ細やかに対応してきたが、この方法も改めるべき時が来

通販の電子部品でロケット開発?

デジキーのオリジナル動画シリーズ。デジキーは電子部品の通販サイトなのですが、コンテンツとしてオリジナル動画も投稿しています。電子工作から先端技術のレポートまであって見応えがあり、自分でも何か作れるのではないかと思わせる魅力があります。 今回のは「宇宙ロケットの電子回路開発」というシリーズ動画。  https://www.youtube.com/watch?v=zgh_4sCTWQc インターステラテクノロジズというロケット開発会社とのコラボ動画です。 同社は「普通のメーカーが作れる部品を使って世界一低価格でコンパクトなロケットを作ること」をミッションとして宇宙や宇宙輸送をもっと身近な存在にすることを目標に掲げています。ホリエモンこと堀江貴文氏が創業者ということでも有名です。 https://www.istellartech.com/teaser/index.html ロケット打ち上げサービスは世界規模では結構たくさんあるようですが、日本でも民間であの程度の形になってきたのは頼もしいところです。   今回のデジキーとのコラボ動画では、ロケットをゼロから開発するという雲をつかむようなテーマに対して、どのようなコンセプトであたったのかを紹介しています。 数々の失敗動画も公開しており、宇宙開発の歴史は失敗の繰り返しであったことを改めて思い起こさせてくれます。 普通のメーカーが作れる部品、すなわち誰もが入手可能な部品でロケットを作るわけで、そんなことはそもそも可能なのかと思ってしまいます。 電子工作ユーザーに向けて話しているため、とても平易な説明をしてくれているのですが、高度な制御が必要なロケットも、基本の基本は電子工作で制作するロボットと同じという視点です。 制御はデジキーで購入できる FPGA のマイコンボードやジャイロを使っているとのこと。センサーやカメラも同様だそうです。ロケットの制御装置というと先端技術の頂点というイメージでしたが、そうした部品の組合せで実際に打ち上げを成功させてしまうのがすごいと思いました。たいへん面白く参考になる動画です。