スキップしてメイン コンテンツに移動

村田製作所が量子乱数で車載セキュリティを高度化、量子コンピュータ時代に対応


村田製作所は量子乱数ハードウェアセキュリティモジュール(HSM)を発表。量子コンピュータ時代に求められる耐量子計算機暗号(PQC)に利用可能な、偏りの少ない量子乱数を生成するHSMを外付け部品として自動車やドローンのシステムに組み込むことでより高度なセキュリティ対策を実現する。

https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2201/20/news051.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

----------------------------------------

クルマの電子化とともに、クルマのハッキングのリスクが叫ばれています。ことにOTA(Over The Air:無線によるプログラムのアップデート機能)が行われるようになると、自動車、ネットワーク、サーバーからプログラム(機密情報/個人情報含)が盗まれる、あるいは自動車内部に侵入されることになります。

そのためクルマには強度なセキュリティが求められています。車載セキュリティは、車載システムをつかさどるECU(電子制御ユニット)のマイコンに、セキュリティ回路を搭載します。現在提案されている車載セキュリティ回路は、SHE(Secure Hardware Extension)とHSM(Hardware Security Module)の2つがあります。加えて各ECUの暗号鍵を管理するためのデータベース技術も必要となります。コンピュータで暗号処理を行う際、暗号鍵を外部アクセス可能なストレージやメインメモリに保管すると、外部からの攻撃により割り出される危険があります。その危険を防止するために、保護された1枚の半導体チップの中で、暗号鍵の生成、保管、暗号処理のすべてを完結させ、外部に鍵を出さないようにしたものがHSMです。

 もうひとつ暗号化技術がカギです。暗号をつくりだすための暗号化アルゴリズムとしてAESというものがあります。これは無線LANの暗号化でも使われています。今日、暗号鍵に最適なビット数は256ビットとされています。これは「2の256乗」通りの鍵が存在することを意味しています。高性能のコンピュータを駆使しても解読に数百兆年かかると言われています。

 しかし、ここで問題となってきたのが「量子コンピュータ」。現代のコンピュータとは桁違いの処理能力を持つ量子コンピュータの力をもってすれば、ある程度高い性能の量子コンピュータを使えば、わずか数か月で解読できてしまうといいます。

そこで量子コンピュータでも解けない高度暗号が必要になってきました。それが耐量子計算機暗号(PQC)です。

 今回発表された開発中の量子乱数HSMは、CMOSイメージセンサーにLEDで光を当てることで、量子ショットノイズを単位時間ごとに抽出し、乱数の基となるランダムデータを取り出すという原理を利用しているそうです。

量子ショットノイズに基づく乱数生成の仕組み 出所:村田製作所

暗号のベースとなるのが乱数の生成技術。ソフトウェアで乱数を創り出すものと、ハードウェアを用いるものがあります。

ハードウェアで行うものもあり、その際は、ダイオードの生成するノイズや熱雑音、放射性物質の崩壊による放射線をセンサで検出する等、ランダムな物理現象を用い、その信号を元に乱数を生成します。

 熱雑音などの物理現象を基にした従来の乱数生成は、ある程度前後の相関があるため、量子コンピュータのような膨大な計算能力を使えば前の乱数から後の乱数が分かり、暗号を解読できてしまう可能性がある。一方、今回の量子ショットノイズは前後の相関がないので量子コンピュータでも暗号の解読が難しい。ということです。

コメント

このブログの人気の投稿

半導体不足で分かる思わぬ「関係」

  全世界的な半導体不足。それをきっかけに 思わぬ企業と思わぬ企業が半導体を通じて結びついていることが分かってびっくりします。 例えばヤマハの電子楽器の場合は? コロナにともなってお家で楽器を再び始める人が増えた。しかしヤマハは半導体不足でいまいちその波に乗り切れない、という記事がありました。 ヤマハの電子楽器向けの半導体を作っていた旭化成マイクロシステム延岡工場で火災が発生しました。ヤマハは電子楽器向け半導体の多くを、旭化成マイクロシステムに頼ってきた、と記事には書いてありました。 あ、そうなんだヤマハは半導体自前じゃなかったんですね。 旭化成マイクロシステム、 通称 AKM 。 いまは旭化成エレクトロニクスとしても知られていますが、オーディオ用のアンプやコンバータなどでは、海外マニアを唸らせる世界最高のオーディオブランドとして知られています。なのでいまだにAKMのブランドが使われています。 なるほど AKM が供給元だったのですね。センサー系の製品の仕事でお手伝いさせていただいたことあります。一刻も早い復旧をお祈りします。 これとは別に、ルネサスの工場が以前の 大雨で たいへんな被害にあって、操業を休止した際には、世界中の車載半導体の供給が滞って、これまた世界のマーケットが深刻な事態になったとか。 事故は起こってはいけないことですが、こういう時に半導体という製品の持つ影響力の大きさや広さというものを改めて感じさせてくれます。

ハンコ文化ならでは?半導体、ハンコ製法で逆襲 キオクシア・キヤノン実用へ

先端半導体の回路を描くために不可欠な「露光技術」で日本企業に逆転の目が出てきた。キオクシア、 キヤノン 、 大日本印刷 はハンコを押すように回路を形成する「ナノインプリント」を 2025 年にも実用化する。露光分野でシェアを奪われてきた日本勢が再び存在感を高められそうだ。 という記事。 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC10DEC0Q1A910C2000000/?n_cid=SNSTWT&n_tw=1634502628 あれあれ? 半導体製造機器は、日本が世界で戦える少ない分野、と思ってきましたが。 調べてみると。 記事によると 2020 年の半導体製造装置メーカートップ 15 、日本勢は 7 社がランクイン とあります。 https://news.mynavi.jp/article/20210325-1839872/ 出典:VLSIresearch トップ 10 のうち、日本企業 ( 日本に本社を置く企業 ) は TEL 、アドバンテスト、 SCREEN 、日立ハイテクの 4 社、トップ 15 社のうち日本企業は、この 4 社に加えて Kokusai Electric 、ニコン、ダイフクの 7 社がランクインしている。 確かにランキングだけを見ていると、日本頑張ってるなあ、という印象。 気になるのが「露光分野でシェアを奪われてきた」の部分。 露光分野というのは、半導体の土台であるシリコンウエハーに回路をつくる工程。回路パターンを形成した原版(フォトマスク)越しに光をウエハーに当てて 2 次元の回路パターンを形成します。半導体の内部回路を構成するもので、 7nm 、 5nm など狭いピッチが進む 半導体を製造するうえで最も中枢といえる工程です。 現在、半導体露光機メーカーとして残っているのは、日系企業であるニコンとキヤノン、そしてオランダの ASML の 3 社。 2000 年以前、先端微細化プロセス向けの半導体露光機市場におけるシェアは、ニコンが ASML を上回っていた。しかし、徐々に ASML が拡大し 2010 年頃には ASML がシェア約 8 割、ニコンは約 2 割と立場が大きく逆転したそうです。 今日では 線幅が微細な先端半導体は「極端紫外線( EUV )」と呼ばれる技術を用いた装置を露光...

分解記事はいつもドキドキ、スリリング

  「 ITmedia Virtual EXPO   2021 秋」で面白かったウェビナーをもうひとつご紹介します。   タイトルは「最先端 5nm プロセッサ解剖」。   泣く子も黙る最新鋭プロセスを採用したプロセッサ。最新 iPhone の A14 プロセッサ、 SnapDragon   888 プロセッサなどで採用されています。 これは分解記事好きとしては、見ざるを得ない所存。   ニュースサイトや雑誌で、解剖・分解記事は大人気。 話題のあれの中身はどうなってるんだろう。エンジニアのみならず一般の人も興味を引くようで、分解記事があると読者がどっと増えるのだそうです。ご多分にもれず自分も大好きでございます。   近年は YouTuber でも「分解系」が人気を集めていて たとえば世界規模では JerryRigEverything https://www.youtube.com/c/JerryRigEverything/videos 登録者 700 万人近いという人気 YouTuber です。 なかには電気自動車まるごとの分解記事なんかもあったりして、スケールも巨大になっています。     とういわけで「最先端5nmプロセッサ解剖」は最新プロセスである5nmプロセッサーを実際に分解していって解説していくもの。 Apple の A14 SnapDragon888 などを分解して中身の構造や機能を推理 / 解説していきます。 これがサスペンスドラマのストーリーのよう。一層一層、薬品で溶かしていくごとに、新たな事実が判明。そこから設計思想を読み取りしていきます。まるで海外ドラマのミステリーを見ているかのようなスリリングな展開でした。