10m以上先の機器に充電可能な無線給電技術が2021年度内に国内解禁されます。マイクロ波に電力を乗せて遠距離のワイヤレス充電・給電システムを構成できるよう規制緩和されました。有線で接続することなく利用できることから、幅広い用途での利用が期待されていたものです。
長距離無線給電の夢と課題
無線給電、無線充電といえばQi規格のように超短距離式のものが 置くだけ充電として、スマホやオーディオ機器を中心に既に普及しています。今回のはさらに距離を伸ばして、室内や空間に存在する機器が勝手に充電されるような仕組みが可能になります。夢のような便利なシステムですが、それなりに課題も多いです。
無全給電は送電機側で電気を高周波(マイクロ波)に変換。電波を使って、この振動を遠隔の受電機に送る→受電機側は、アンテナで受信したマイクロ波の振動を再び電気に変換し給電します。無線給電では、電力を高周波の電波に乗せて空間を飛ばすため、人体への影響を考慮しなければなりません。強い電磁波を浴びるとさまざまな影響が起こりうるため、国では電波防護指針を定めて 安全な値や軽減対策を義務づけています。
無人環境からスタートして様子を見ながら有人環境へ
今回の解禁された内容では、920MHz帯、2.4GHz帯、5.7GHz帯の3つの周波数帯を使えます。使用シーンは 屋内の無人の工場ラインや倉庫、有人の物流現場、老人介護施設などでの普及を想定しています。
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出典:総務省 |
上の図表は国からの答申内容であり、決定から時間がたち、規制緩和のロードマップや具体的な送電電力も決まったようです。
920MHz帯は人がいる環境でも給電できますが、2.4GHz帯、5.7GHz帯は出力が強いためか、人がいない環境での電力送信を想定しています。1対1での送電であることから、ビームフォーミングなどの技術を使って、1台に向けて集中して大きなエネルギーの高周波を送るため、人がその間に立つと悪い影響を受けてしまうからでしょう。そのため2.4GHz帯、5.7GHz帯では、安全対策としてセンサーなどによる人体検出機能、人が立ち入ったことを検出した場合は、送信を停止する機能、安全のための表示や柵などの設置など、さまざまな条件がついています。
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