世界に比べて遅れる日本のBtoBマーケティング
「日本におけるB2Bマーケティングは欧米先進企業より10~15年も遅れている」。
耳タコくらいよっく聞いたフレーズです。
他社ではいいお手本や実例がある。というのに、自分の組織ではそれを生かすことができない。うちでは無理。BtoB企業のマーケティング部門の方と 日ごろお話をする機会が多いので、そのへんのジレンマはひしひしと感じます。
もともと、「BtoB(昔は産業材と呼ばれていました)に、マーケティングは必要か?」という、いまから考えるとトンデモ議論も、20世紀には普通に行われていました。
それも無理もない面もありました。
いい製品いい技術なら自然と売れていく。
決まった取引先に売っているので、新規顧客は手間もかかるし必ずしも必要ない。
営業マンの腕前で売る。
そういう、まあ古い思考が主流だったので、そもそもマーケティングなどは必要ない。
そういう考えの人もかつてはいました。もうそんな人たちは絶滅してしまいましたが。
MAやデジタルマーケティングは普及しているけれど‥‥
2010年代以降、BtoB企業のマーケット部門は、ツールの普及状況だけで見れば、リーマンショック後、遅い企業でも現在から2、3年前にはMA(マーケティングオートメーション)を導入しています。
ある時期から雪崩を打って、どこの企業でもMAツールの導入を検討し始めたという実感があります。
いろんなマーケティング活動が、Webサイトやポータルへの誘導の経路として位置づけられ、サイトでの継続的なジャーニー体験から、最終的にはナーチャリングを経て営業案件へとつながっていく、という志向がはっきりと見え始めました。
で、今、それらが売り上げに貢献できているかといえば、必ずしもそうではないようです。
さらに悪いことに営業や売り上げにダイレクトに貢献するという役割から、なんとか逃げようとするマーケ部門も残念ながら散見します。
このあたりがマーケの方のジレンマというか最大の悩みになっています。
よく言われるのが「マーケ部門だけでは会社は変われない」。逆の言い方をすれば「マーケ部門が動かないと会社は変われない」ということにもなると思います。
どうすればビジネスの成長に貢献できるのか。
顧客の行動や市場の環境が変わったことで、マーケティングは不可欠。B2Cではネットを使ったデータドリブンな現代的なマーケティング活動が非常に進んでいますが、B2Bのビジネスでも、データをもとに顧客のニーズや変化をとらえて施策を講じていく必要があります。
「いやそれは分かってる。十分承知だが、うちの体質ではなかなかそこまでは難しい」。提案や会議の中でそういうお返事をいただいたことも多々あります。
ただし、コロナの今の状況はそのへんを打開するチャンスでもあります。コロナ禍で顧客の状況は一気に変化を加速しました。
たとえばリアルな営業訪問機会が減り、リアルのイベントの開催も難しく、開催しても顧客が来場を控えるという状況のなか、顧客とどう接点をつくればいいかが、課題になっています。
すると、営業部門が新規顧客獲得についてマーケティング部門に頼らざるを得ません。昨年の秋あたりから、Webマーケティングやコンテンツの案件の打ち合わせでは、潜在顧客や新規顧客の獲得を至上目的に掲げるお客様がとみに増えてきています。
マーケティング部門はKPIとして案件数をだいたいあげるのですが、単に案件といってもここが難しい。
MQL(Marketing Qualified Lead)すなわちマーケティング部門が考える見込み客。もうひとつがSAL(Sales accepted lead)営業がこれはものになるかもと承認した見込み客。このふたつがあるからです。
営業との関係が一体になっていない、あるいははっきり言えば仲が良くない関係では、マーケティング部門は大量の、すなわち営業が対応できない玉石混交のMQLを渡してそれで良しとするケースも多いです。数は集めた、あとは選定とコンタクトよろしく!というわけ。
ものすごく乱暴な言い方をすれば、マーケとしては数を集めるだけなので楽。コンテンツ制作を行うこちら側も楽。
具体的にはBtoBで何かしらのキャンペーンをすれば、製品によりますが、MQLなら1000は獲得可能。イベントを行えば来場者属性の入った数千のアンケートを得ることができます。
でも営業部門の方は大変ですよね。
とはいえ最近は、会社の上層部から、マーケティングによる顧客獲得は最終的にはSALベース(営業部門が潜在顧客として認識したリード)、というのが強く求められるようになってきているようです。
当然ですよね。最終的にはマーケティングは売り上げへの貢献ですから。というわけでビジネスにどれだけ貢献したかが問われています。このあたりがBtoB企業のマーケティング部門の最新の悩みだと思います。
とはいえ現実を見ると、大きな企業では各部門ごとにマーケ担当がいます。(それでも全然マーケの人数が足りない、とおっしゃる会社も多いのですが)
中堅企業や海外法人の日本支社になるとマーケティング部は全体で1人から数人というのもよく見受けられます。
そういう環境でマーケの山のような業務をこなしている方を見ると、いやあ、しみじみ大変だなあと共感してしまいます。
しかし「マーケ部門が動かないと会社は変われない」。
マーケティング主導の企業経営が欠かさないものになろうとするなか、営業や開発と一体となった動きがより求められていると実感します。
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