内燃機関車、ことにガソリン車をターゲットにした環境規制が、全世界規模で一気に加速しています。これまで2050年あたりを目標にしていたのが、2040年へ、そして2035年へ。どんどん前倒しになっている印象です。
脱炭素社会実現への国家政策レベルでの推進は、コロナの影響もあったのかもしれませんが、規制の前倒しでペースが上がっている印象。ガソリン車の「Xデー」は予想より早くやってきそうです。
各国のガソリン車規制
◆北欧のノルウェイでは2025年には、新車はZEV(Zero Emission Vehicle)100%を実現する。ZEVとは排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車のことを指します。スウェーデンでは2030年にガソリン車、ディーゼル車の発売をしなくなる。
◆オランダでは2030年にZEV100%。
◆英国では2035年にガソリン車の販売を停止するはずだったのが、これを2030年に前だおし。ただしハイブリッドカーは許される。
◆フランスでは2040年にガソリン車の販売を禁止。ただし、パリ市独自で2030年ガソリン車の乗り入れ禁止。
◆日本では、2035年に純粋ガソリン車を販売禁止する方針。 東京都は2030年までに脱ガソリン車を実現する方針。
◆アメリカでは州ごとに規制が異なっているが、特に環境に厳しいカリフォルニア州では2035年までにゼロエミッション車を義務づけ。ガソリン車の新車販売を禁止し、電動車、水素電池車だけが許される。
◆中国では政府が自動車メーカーに一定割合の新エネルギー車の販売を義務付ける「NEV規制」を2019年に導入。2035年には新エネルギー車を半分にし、純ガソリン車はゼロにする方針。
◆欧州では欧州LCA規制(ライフサイクルアセスメント)
が検討中。これは製品ライフサイクルでのCO2排出量を評価する取り組み。自動車は製造にCO2を多く排出するため、自動車メーカーは脱炭素の取り組みをこれまで以上に進める必要があります。
◆EUタクソノミーも考案中で、自動車メーカーの資金獲得にもプレッシャーを与えそうです。EUタクソノミーとは、パリ協定とSDGsを達成するためのサステナブルを評価基準とした金融政策のことです。ガソリン車のみならず、プラグインハイブリッドもサステナブル投資の対象外となりそうです。要するに外部資金を得られなくなる、ということです。えらいことですね。
環境規制は地域や国ごとに、さまざまな政策の形でどんどん出てきます。これでは日本に限らず世界中の自動車メーカーは電動車にシフトをせざるを得ません。各社からEVの新車発表が相次いでいるのもこうした切迫感や危機感があってのことです。
そして規制の共通するところは、ガソリン車の割合を減らすではなく、ゼロにすること。自動車メーカーにとって、すべての商品ラインアップを根底から変える必要があります。
まだ先と考えていたものがいきなり前倒しでやってくる。たまったものではないですね。例えば2035年の期限となれば、メーカーの自動車のラインアップをゼロベースで作り替えようとすれば、開発期間を考慮したら残り時間は限りなくゼロなのではないでしょうか。
自動車100年に1度の大変革期は、自動車メーカーのサバイバルの戦いでもあるのです。
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