IoTといえばセンシング。センシングに小型ボードコンピュータの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略してラズパイ)」を活用する人は多いです。
ラズパイはこんなやつです。
小さくて子供の手のひらに余裕で乗ります。ですが世界800万個以上が売れた電子界のベストセラーです。(写真はraspberrypi.orgより)
こんな小さくてもちゃんとコンピュータしています。扱いやすく機能も充実、しかも低価格ということで、電子工作愛好者から試作機、実用機まで広い層に使われています。作例も多くネットを調べればなんとかなる、というのも安心ポイント。
作例の記事があったので読んでみました。
作ったのはバルブ開閉のチェックシステムです。使う時はバルブを開け、使用後には閉める。単純なバルブの開閉のチェックですが、問題はバルブが100か所あること。
手作業では管理しきれない。通常こういう場合は、工場だったら間違いなく電磁弁で遠隔制御して閉めるのが確実。しかしかなり高額になるのでラズパイを使って自作することにした。という作例です。
買うと高い、世の中にない、入手も面倒→「じゃあ自分で作っちゃえ」。そういう発想は大好きです。
ここで主人公が選んだのはカメラを使って画像解析してバルブの開閉を検知する方法。
具体的にはバルブの矢印の方向を画像解析して開閉を検知します。
なるほど、アナログチックなアプローチだなあ、と思ってちょっと感動してしまいました。
そういえば以前、古いアナログメータしかない設備をIoT化する時に、矢印や数字をカメラで読み取ってそれをOCRで数値に変換するというソリューションがあったのを思い出しました。
すごく地道な方法で洗練はされていませんが、後付けできて、設備の追加導入も最小限ですむ。「これで事は足りるし、これで全然いいじゃん」と思ったものです。
というわけで矢印を読み取って方向を解析するわけですが、このとき撮影した画像から開閉を判断する画像認識アルゴリズムが一番重要になります。そこで作者はOpenCVの画像認識を選びました。OpenCVはインテルが開発・公開したオープンソースのコンピュータビジョン向けライブラリです。形状のマッチングや図形の検出などが標準ライブラリに用意されています。
そしてバルブの矢印の図形を認識させるよう、作者はいろいろ試してみます。そこから、検知したい特徴点を明確にする、それを検知することが認識率向上の近道というノウハウを獲得します。
この作例に限らず、画像認識はなかなか理屈通りにはいかないようです。人手とトライアンドエラーの積み重ねのようです。物流や製造のビジョンセンサでも入念に時間をかけて調整を行うそうです。
イベントや展示会に携わることも多いですが、物体認識のエッジAIのデモでは、会場の照明の加減や光と影のせいで、実験室では認識していたのがなかなか認識してくれなくて、夜遅くまで調整しているのをいくつかの現場で見てきました。まあ自分だけ先に帰れないので、イライラしながらずっと見守っていたのですが。
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